歩く!巨神玩具「装甲巨神Z-ナイト」 第1回(全3回) 著者:山陰生
歩く! 巨神玩具「装甲巨神Z-ナイト」 第1回
西暦2998年、現在から1000年後の未来。人類は地球(B・S・U=ブルー・スター・ユニオン)と火星(惑星国家KILNA)の勢力に分かれ、惑星間戦争の時代に突入した…。
という事で、株式会社トミー(現:タカラトミー)が1998年に世に送り出した画期的玩具『装甲巨神Z KNIGHT(ズィーナイト)』に関してのお話しを少々。
当時、ケイブン社の大百科別冊で2冊のZ-ナイト本に携わった経験から、その世界観と玩具としての魅力について振り返ってみたい。
Z-ナイトシリーズは、初の2足歩行を売りとしたロボット玩具だった。それまでにも2足歩行の玩具やプラモデルは存在したが、足裏に車輪が付いているなど、すり足での歩行が主で、クランクやカムの組み合わせでちゃんと膝や足首を折り曲げ、足を上げて歩く玩具は無いに等しかった。
それを実現させた本シリーズは「ゾイド」シリーズの流れをくみ、Z・A(ゾイド・アーマー)と呼ばれる装甲巨神Z-ナイトやマリンカイザーの核には、2079人のゾイド星人と共に地球に来た6つの「メタルハート」と呼ばれる金属生命体が使用されているという設定だ。ゾイドでいうところの「ゾイド生命体」のようなものか。
このメタルハートにより自ら作り出された身体がZ・Aとなる。玩具自体も動力部にプラモデルを組み立てるようにパーツを組み上げていく形式で、ゾイドに慣れ親しんだ子供たちにもお馴染みの商品構成であり、設定ともリンクしていく形の玩具だった。
リアルウォーカーシステムと称した歩行システムを組み込んだZ-ナイトは、胸が呼吸しているかのように上下し、重量感を出す為にあえてゆっくりとした歩行速度に設定することで、その存在感を見せつけた。
メカニックを担当した田島豊氏によれば「歩く」こと自体の設計に苦心したそうだ。もっと足の短いモデルなど試作品は20体に及んだ。
しかし、一番最初に完成したZ-ナイトにも改善点を見つけ、敵側の主力メカであるF・A(ファイナル・アーマー)ギルガでは足が10ミリほど長くなっている為、バランスの改善などもさらに行われている。Z-ナイトも次作の白くなったグレートZ-ナイトになるとやはり足が10ミリ長くなっており、バッテリーのパワーを歩行速度アップに当てることで、歩くスピードを上げた。
これはユーザーから歩行速度を上げて欲しいという要望が多数寄せられたことで、開発がチャレンジした結果だった。当時トミーには、電動玩具は90分以上可動しなければならないという社内規則が有り、Z-ナイトたちはそれに沿って製作されていたのだが、グレートZ-ナイトはそのバッテリーライフを歩行スピードのアップに振り分けた為、稼働時間が少なくなっているという。
このまま開発が進んでいたら、もっと脚の長く、足のサイズの小さいさらにプロポーションがスマートになったZ-ナイトたちに出会えたかもしれない。
(歩く! 巨神玩具「装甲巨神Z-ナイト」 第2回へつづく)
著者紹介
山陰生 @yonagoman
上京後、専門学校を経てアニメーターになるも挫折。その後、編集プロダクションに拾われ、オタク関連の書籍や雑誌の編集・ライティングを行いその後フリーに。
しかし、人生の旅も半世紀を越え、田舎にUターンして余生を過ごす日々。昭和を愛すが別に戻りたくはない、初老に片足突っ込みかけているオヤジです。
アニメ、漫画関連アイテムをご整理の際は、オタクバイヤーへご相談ください!
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